今月の主題 新生児
技術解説
胎児性腫瘍の組織化学
秦 順一
1
,
清水 興一
2
Jun-ichi HATA
1
,
Koichi SHIMIZU
2
1国立小児病院小児医療研究センター病理・病態研究部
2国立小児病院研究検査科
pp.14-20
発行日 1986年1月15日
Published Date 1986/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912853
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小児期,特に新生児期・乳幼児期に生じる腫瘍は,発生母地が多分化能を有する胚細胞ないしは器官芽(orgausblast)・組織芽(tissueblastema)細胞であるため,腫瘍そのものが多彩な機能および形態分化能を保持している1).すなわち,小児固型腫瘍(胎児性腫瘍)にはそれぞれその発生母地に関連した産生物質があり,分化に従って発現する.その他,腫瘍細胞の分化程度の指標となる,主に細胞の膜に表現される抗原があり,分化抗原とも呼ばれている.これらの事実を正確に知り,かつ利用して腫瘍の診断や治療効果の判定に積極的に取り入れようとする試みが多くなされている.
本稿では,血液系腫瘍を除く固型腫瘍におけるこれら腫瘍独特,またはそれに強く関連して存在する物質を形態的に証明する種々の組織化学的方法について述べ,さらにそれらによって得られた知見について概説する.
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