今月の主題 まちがいやすいGram陽性菌の同定法
カラーグラフ
まちがいやすいGram陽性菌の同定法
三輪谷 俊夫
1
1大阪大学微生物病研究所
pp.362-364
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912535
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細菌培養検査を進めるにあたり,患者材料の直接鏡検でGram陽性菌に遭遇した場合,かなりの人が「どのように検査を進めるべきか」しばしとまどいを感じるのではなかろうか.Enterobacteriaceaeを中心としたGram陰性桿菌ほど親しみがないからである.
日和見感染症が問題視されなかった時代には,病原菌といえばほとんどがGram陰性桿菌であり,Gram陽性菌といえば数えるほどしかなく,数えるほどしかない特定の菌種以外のGram陽性菌はたとえ患者材料から多数検出されても非病原菌・雑菌として取り扱われ,ほとんど顧みられなかったのである.しかし,日和見感染症の出現によって情勢は一変し,たとえ平素無害性の弱毒菌・非病原菌と考えられていた菌種も起病菌として無視できなくなってきてしまった.急ピッチで目まぐるしく進歩する細菌分類学に対する不平不満はあろうが,医学細菌学を正しく発展させていくためには進歩しつつある細菌分類学を正確に学びとっていく必要があろう.
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