今月の主題 生体材料の取扱いと倫理
話題
遺伝学的検査(遺伝子検査・染色体検査)と倫理
福嶋 義光
1,2
Yoshimitsu FUKUSHIMA
1,2
1信州大学医学部社会予防医学講座遺伝医学分野
2信州大学医学部附属病院遺伝子診療部
キーワード:
遺伝カウンセリング
,
検査の有用性
,
生殖細胞系列遺伝情報
Keyword:
遺伝カウンセリング
,
検査の有用性
,
生殖細胞系列遺伝情報
pp.1533-1536
発行日 2003年11月15日
Published Date 2003/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101047
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1. はじめに
ヒトゲノム・遺伝子解析研究の急速な進展により,稀で重篤な遺伝病だけではなく,一般の人々が多く罹患する高血圧,糖尿病,心筋梗塞などの生活習慣病やアレルギー疾患,悪性腫瘍,感染症に対する抵抗性など,ほとんどあらゆる健康の問題に遺伝や遺伝子が関係することが明らかとなってきており,それらの遺伝子情報を明らかにする遺伝学的検査の役割はますます大きくなるものと予想される.
しかし,遺伝子情報には非常に高い確率で将来の発症の予知,疾病の予後の推定を可能とするものがあり,また個人の遺伝子情報がその家族・血縁者の情報をも内包することなど,従来の臨床検査とは異なる面があるので,遺伝学的検査に携わる者はその倫理的側面を熟知しておく必要がある.本稿では種々の内容のものが含まれる遺伝学的検査を倫理的側面から分類し,それぞれの遺伝学的検査で考慮すべき事項について解説する.
Copyright © 2003, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.