Japanese
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資料
国外感染を疑う無鉤条虫症の一例
An Imported Case of Taenia Saginala Infection into Japan
阿部 弘
1
,
前根 美砂子
1
,
岩本 典子
1
Hiroshi ABE
1
,
Misako MAENE
1
,
Noriko IWAMOTO
1
1東京都中央区日本橋保健所予防課検査室
1Laboratory of Protection Section, Tokyo Metropolitan, Chuo-ku, Nihonbashi Health Center
pp.1664-1666
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912078
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はじめに
人体腸管内寄生の大型条虫には広節裂頭条虫(Di-phyllobothrium latum),大複殖門条虫(Diplogonopor-us grandis),有鉤条虫(Taenia solium),無鉤条虫(Taenia saginata)などが挙げられる.広節裂頭条虫は溯河性魚類,大複殖門条虫はおそらく海産魚類,有鉤条虫はブタおよびイノシシ,無鉤条虫はウシおよび,ごくまれにヒツジが中間宿主になることが知られているので,これら中間宿主を生あるいは不完全調理の状態で人が食べることにより感染する.しかし,これらの条虫成虫感染者は,有鉤?虫症を併発した場合を除き,必ずしも大きな症状が現れるとは限らず,一般に排便時に虫体あるいは片節を排泄することにより初めて感染を知ることが多い.
今回われわれは,排便時に肛門から片節を排泄した患者が,出張先のアフリカにおいて感染し帰国後発症したものと思われたので,本患者を対象にして虫体の鑑別と駆虫を行い,諸外国において本虫感染がまれでないことを知り,今後の輸入寄生虫病に対する医療従事者の注意を喚起したく報告するものである.
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