資料
ELISA法とRIA法による血清フェリチン値の比較
河島 由美子
1
,
七條 茂樹
1
,
萩原 静夫
1
,
横山 三男
1
,
川越 正孝
2
1久留米大学医学部免疫学教室
2帝人バイオサイエンスラボラトリーズ臨床検査室
pp.1667-1670
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912079
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はじめに
フェリチン(ferritin)は,24個のサブユニットから成る分子量45万の高分子蛋白質であり,各種の臓器,特に肝細胞や細網内皮系細胞,あるいは血清中に存在する.サブユニットにはHとLの二つのtypeがあり,HとLの割合によって異なった分子特異性を示す.主としてH—サブユニットから構成されているフェリチンを酸性フェリチン(acidic ferritin)と言い,L-サブユニットが主体と成すものを塩基性フェリチン(basic ferritin)と呼んでいる1).心臓,膵臓,腎臓,胎盤,胎児の肝臓には,酸性フェリチンが主に分布し,肝臓,脾臓および血清中には,塩基性フェリチンが主に分布している2).
血清中のフェリチンの濃度は,体内の鉄保存量と密接に関係している3)ことが明らかにされて以来,鉄欠乏性の貧血と他の原因による貧血とを区別する手段として診断に用いられるようになった.血清中のフェリチンの測定は,感度や再現性に優れているradio-immunoassay (RIA)が用いられているが,一般の検査室では行えない不便さがある.Milesら4)は,酵素を標識した抗ヒトフェリチン抗体を用い,基質の発色による吸光度を測定することによりフェリチン濃度を求める方法,すなわちenzyme linked immunosorbent assay (ELISA)を考案した.
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