学会印象記
第8回国際細胞学会議(モントリオール)/第3回日本臨床化学会夏期セミナー
高橋 正宜
1
1岐阜大学医学部第一病理学講座
pp.1501,1512
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912049
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演題数に現れた日本の経済事情
モントリオールの語原は"ほんとうの山"というところにあるらしいが,丘のような山を囲んでセントローレンス川の流れる,美しい都市である.フランス系居留地として発達したカナダ第一の大都市であるが,合衆国の都市にみられるような騒がしさもない静かな町並みは,第7回国際細胞学会議の南ドイツミュンヘンを思わせる風情があった.
今回の第8回国際会議は市の中心地にあるQueenElizabethホテルを会場として6月19日から23日まで開催され,一般講演275,展示21,特別講演7,招請講演9,パネル6,スライドセミナー1を消化する厳しい日程となった.口演出題国は32か国に及び,出題数の多い国別にみると日本が80題で1位を占め,主催国のカナダが51,米国が38,中華人民共和国12,インド10,西ドイツ10,スウェーデン8,などという状態で,中南米諸国はほとんどみられず,各国の代表者がパネルに参加したにすぎなかった.これは学術的進歩を必ずしも物語るものではなく,諸外国の経済的な外貨事情の一面が大きいことを,アルゼンチンのLencioni教授が羨望をもって指摘した.日本の細胞学会の会員数が4,000人を超えることを説明し,80題の出題が決して膨大なものでないことを話題として強調せざるをえなかった.
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