今月の主題 レーザーと臨床検査
技術解説
レーザーのフローサイトフルオロメトリーへの応用
伊藤 喜久
1
Yoshihisa ITO
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.985-991
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911966
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臨床医学における種々の細胞の形態検査は,これまで主に顕微鏡による形態学的特徴や染色パターンなどの観察により,分類および計数がなされてきた.しかし,この方法では,個人差,言い換えれば測定者による判定基準の相違が不可避であり,またカウント数にもおのずと限界があるために,再現性・客観性に問題が残されている.さらに,サンプル調製の過程で目的細胞の分離を必要とする場合もあり,その純度や特定細胞群の脱落によるデータのバラツキ,あるいは調整細胞の不足を招来する可能性があった.これらの問題を解決するものとして,フローサイトメトリーシステムが考案された.
分析装置であるフローサイトメトリーの主要部分は,一列で等速度の細胞流を形成するフローシステムと細胞からの信号を検知するシステムとにより構成されている.代表的な信号検知法には,電気抵抗法(Coulter方式)と光学的方法がある.Coulter方式は,電界中を通過する細胞によって発生する電気抵抗の変化量で細胞の大きさを測定して,細胞を計数するものであり,多くの血球計数器で採用されている.一方,光学的方法は,細胞に光を照射することによって得られる散乱光や蛍光を測定して,細胞を分類し計数する原理に基づくものである.この方法は,複数の変量を同時に測定できるという利点を持ち,汎用の細胞分析装置(細胞解析装置,細胞分類装置)で採用されている.
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