今月の主題 日和見感染症
技術解説
Pneumocystis carinii肺炎の検査法
吉田 幸雄
1
Yukio YOSHIDA
1
1京都府立医科大学医動物学教室
pp.1461-1466
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911716
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Pneumocystis carinii肺炎は癌の化学療法や臓器移植および自己免疫疾患などに対する抗免疫療法の進展に伴い日和見感染症の一つとして最近注目されているが,その診断は必ずしも容易ではない.特に病原体の検出には特殊な染色を必要とし,かつ真菌などとの鑑別も困難なことがある.本症の診断はまず担当医師がその臨床症状から本肺炎を疑うことから出発するが,本稿では検査材料についての的確な処理と手順,および染色法の優劣などに重点を置いて解説する.通常,生前診断に供される検査材料は肺生検および経皮的肺吸引などにより入手するが,これらの方法は呼吸困難の強い患者には適用し難い.そこで喀痰から病原体を集めて染色し診断する方法が最近考案され,良い成績をあげているので紹介する.本症には病原体の分類学上の位置,培養法,免疫学的診断法,人畜共通感染症,治療法,予防法などの諸点でまだまだ多くの未解決の問題を含んでいる.
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