私のくふう
ヘアドライヤーを用いるセルロゲル膜の迅速透明化法
小堀 一二
1
1産業医大病院中央臨床検査部
pp.1453
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911714
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セルロゲル膜を用いる電気泳動法における膜の透明化法には種々の方法があるが,透明むらや周辺しわなどができたりしてなかなかやっかいである.本誌(谷川忠義:22,1083,1978)にもセロファン紙で膜をサンドウィッチ状にして包み,恒温器内に一夜放置するという方法が紹介されているほか,河村(臨床検査,25,14,1981),中山(臨床病理,特集43号,1,1981)も発表しているが,筆者はより迅速で,ヘアドライヤー一つでだれにでも手軽にできる方法を十年来用いているので,ここに紹介する.
まず,染色および脱色を終えた膜を,空気が入らぬように直ちにガラス板に載せ,ガラス板を斜めにし"水切り"をするようにして余分な脱色液を捨てながら,ドライヤーで乾燥する.ドライヤーを徐々に近づけ,透明化しかかったら,むらができないように膜全体を一様に加熱する.透明化後,室温に放置し,完全に冷えたらデンシトメトリーする.また,ガラス板から膜を外し,セロファン紙に包んで通常の保存もできる.保存による退色はLDHアイソエンザイムの場合,Ⅲ・Ⅳの低下,Ⅰ・Ⅱの上昇がみられるが,半年くらいは各割合の変動はほとんどない(図).また,透明化の注意として,脱色液が古い場合に白い斑点や透明むらができるので,脱色液は使用直前に作るほうが良い.
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