分離分析の技術Ⅰ・8
寒天ゲル免疫電気泳動—血清蛋白標準分析法
臼井 美津子
1
,
松橋 直
2
Mitsuko USUI
1
,
Tyoku MATUHASI
2
1東京大学医科学研究所アレルギー学研究部
2国立予防衛生研究所細菌第2部
pp.943-949
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911619
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はじめに
免疫電気泳動法は,GrabarおよびWilliamsが,1953年に発表して以来,すでに30年近くの年月がたっているが,現在に至ってもなお,蛋白,その他の抗原性物質の分析に欠くことのできない実験法として,各分野で広く応用されている.血清に,数十種類の蛋白が含まれていることが明らかになったのは,実に,この方法によってである.Grabarが発表して以来,種々の方式が派生的に開発されたが,「電気泳動と免疫拡散法との組み合わせ」という広い意味に解釈すると,ロケット法,交差免疫電気泳動法,免疫電気向流法,Im-munoselection, Immunofixationなど,数多くの方法が挙げられる.いずれも支持体を用いて,試料の展開と抗血清との反応を起こさせ,沈降線を形成させて観察する,という方法である.一般には免疫電気泳動法と言えばGrabarの方法を指し,Grabar法とも呼ばれている.
実施面でも,やりやすいよう,簡便にできるよう装置がくふう・改良され,抗血清類も実に豊富に,常時市販されるようになり,特に重要な「抗血清の特異性」についても,最近ではかなりよく管理された製品が市販されている.支持体についても,寒天,アガロースなども良い製品が市販され,免疫電気泳動法は非常にやりやすい実験法となっている.
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