今月の主題 ショック
技術解説
心拍出量の測定—特にショック時における方法の適否について
香取 瞭
1
Ryo KATORI
1
1近畿大学医学部第1内科
pp.642-650
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911565
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循環障害の結果,全身の主要組織の血流が高度に減少し,生体機能の維持が困難になった状態を一般にショックと呼んでいる.ショックを大別すると表1のようになるが,原因のいかんにかかわらずほぼ一定の症状を呈する.すなわち,共通の症状としては血圧の下降(収縮期圧80mmHg以下),洞性頻脈,意識障害,皮膚が蒼白となり湿って冷たい(細菌性ショックでは皮膚が紅く温かいことがある—warm shock),乏尿(30ml/時以下)がある.
心拍出量の減少は,心ポンプ機能の低下,血液量の減少により起こり,いずれのショックでも必発して発生してくる.しかし,臨床的に心拍出量の測定が必要になるのは,心原性ショックの場合である.特に重要なのは,急性心筋梗塞の急性期における心原性ショックで,CCU (coronary care unit)における検査として多く行われている.心筋梗塞は肺うっ血,うっ血性心不全を合併することが多いために,両者を含めてpower failureと呼ぶ.
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