今月の主題 糖尿病
検査と疾患—その動きと考え方・65
小児糖尿病
手代木 正
1
Tadashi TESHIROGI
1
1日本医科大学小児科
pp.555-564
発行日 1982年5月15日
Published Date 1982/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911545
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小児糖尿病とは
インスリンの絶対的または相対的欠乏による代謝異常を糖尿病と呼んでいるが,これは一つの症候群であり,この中には成因も病態もまったく異なる疾患が含まれており,これらにつき種々の病型分類が行われてきた.近年,米国のN.I.H.のNational Diabetes Data Group1)は,糖尿病の名称,病型分類,診断基準を再検討して,できれば国際的に統一した見解を持つ必要性についての指摘にこたえて,表1にみるような分類を示した.すなわち,インスリン依存型(IDDM)は従来の若年型糖尿病(juvenile type DM)であり,typeIDMとも呼ばれている.一方,インスリン非依存型(NIDDM)は成人型糖尿病(adult typeDM),type Ⅱ DMと呼ばれていたものである.両者の臨床的特徴2)は表2に示した.
小児糖尿病とは,1966年のWHOの記録によれば,0〜14歳の小児に発生した糖尿病で,通常急激に発症し,急速にインスリン依存性になる若年型糖尿病が特徴的であると述べられている.しかし,インスリン依存型でケトーシスに陥る傾向にある糖尿病型は必ずしも小児のみに発症するものではなく,どの年齢層にもみられるので,若年型糖尿病という区分は現在除かれ,IDDMとの名称が使用されてきている.したがって,小児糖尿病とは単に小児期に発症した糖尿病ということになる.
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