今月の主題 栄養
検査と疾患—その動きと考え方・61
栄養障害性貧血
宮崎 保
1
,
樋口 晶文
1
,
片平 潤一
2
Tamotsu MIYAZAKI
1
,
Akifumi HIGUCHI
1
,
Jun-ichi KATHIRA
2
1北海道大学医学部第3内科
2東京女子医科大学血液内科
pp.58-67
発行日 1982年1月15日
Published Date 1982/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911463
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栄養障害性貧血とは,"赤血球および血色素の生成に必要な物質が,種々の原因で十分に供給されないために発生する貧血"と定義される.赤血球生成に必要な物質,すなわち栄養素として重要なものは全栄養素に及ぶが,特にその物質が不足するために貧血に至るものと規定すれば,蛋白質,脂肪,ビタミンとしてC, B2,B6,B12,葉酸および脂溶性のものとしてE,また無機物質として鉄,銅などがある.これらの物質のうち外から供給されなければならないもの,すなわち生体内で作ることのできない物質が不足した場合,広義の栄養障害性貧血と呼ばれうる.
これらの病態の成立には,①食餌性欠乏,②生体側におけるこれらの物質の代謝障害,すなわち吸収,移送,利用,貯蔵などの障害が関係する.
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