中検へ一言・中検から一言
注意深い観察眼,他
鳥飼 勝隆
1
1名古屋保健衛生大・内科
pp.1392-1393
発行日 1976年11月15日
Published Date 1976/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909601
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私たちの病院で,発熱で入院してきた患者の髄液から肺炎球菌が検出されたことがある.その検査成績が分かったとき,担当検査員がすぐに検査成績をもって,自分で病棟まで届けにきてくれたことがある.別に自分で病棟まで来なくとも,検査成績をいつものルートで送ったり,あるいは電話ですますこともできたかもしれない.しかし,彼女はこの成績は重要で,抗生剤の投与がすぐにでも必要になるかもしれないと思い,主治医に確実に手渡したかったし,その患者がどんな状態かも知りたかったとのことであった.自分の出した検査成績がどんな意味をもっているかをよく認識し,その仕事ぶりは単なる成績の製造業に終わっていないことに大変感心させられた.一方,検査室で次から次へと依頼されてくる同じような検査材料を毎日検査していくことは,ある意味では変わりばえのない単調な仕事であるかもしれない.実際,そのような悩みを聞かされることが時折ある.しかし,これらの検査材料には,それぞれ検査をする理由があって送られてくることも事実である.このことを考えると,単調になりがちであっても,検査室の仕事は単中検から一言なる成績の製造業で終わってはならないことも確かである.この問題点にどう対処するかである.もし,個々の検査材料の送られてくる理由がもう少し検査員にも分かると,仕事の単調さがかなり解消されるであろうか.
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