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特集 ウイルス疾患の検査法
ウイルス検査技術
RSウイルス
Respiratory Syncytial virus
須藤 恒久
1
1秋田大・微生物
pp.1220-1224
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909165
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秋から春にかけて,こども,特に乳幼児の急性気道感染症(ARI)の原因として,最も重要なものは,RSウイルスであるといわれている.RSとは,RespiratorySyncytialの略であって,シンシチウム形成という特異な細胞病原性効果(CPE)を示す呼吸器を犯すウイルスという意味である.
このウイルスは,1956年米国のMorris1)らによって,チンパンジーの鼻かぜから初めて分離されたので,初めはChimpanzee Coryza Agentと呼ばれたが,翌年Chanockら2)によって,ヒトの間にも,広くARIを起こすことが知られてからRespiratory Syncytial virusと呼ばれることになったものである.赤血球凝集能のないこと,ふ化鶏卵では増殖しないことなどを除けば,インフルエンザ,パラインフルエンザなどと近縁なウイルスでありMetamyxo virusと分類されている.このウイルスが,冬のこどものARIの原因として最も重要なものであることは,世界各地からの報告3,4)で既に明らかにされたことであるが,我々も,わが国での秋から春にかけての小児のARIを検索した結果,RSウイルス感染症は毎年のように流行し,しかも,外国と同様,極めて重要なものであることを確かめて既に報告5,6)したところである.
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