技術解説
肺真菌症の検査
池本 秀雄
1
1順大・内科
pp.7-16
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908831
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肺真菌症を起こす原因菌としては,Aspergi-llus属殊にA.fumigatus,ならびにCandida属殊にC.albicansが最も多く,頻度はかなり落ちるが,Cryptococcus neoformansがしばしば問題になり,この他比較的まれながら,Rhi-zopus, Mucor, AbsidiaなどPhycomycetes,ごくまれにGeotrichum candidumなどによるものがある.米国など特定の地域には多いが,海外旅行者,移住者は別として,日本ではまずみられない肺真菌症としては,ヒストプラスマ症,コクシジオイデス症,北アメリカプラストミセス症,南アメリカブラストミセス症があり,原因菌はぞれそれHistaplasma capsulatum, Coccidioi-des immitis, Blastomyces dermatitidis, Para-coccidioides brasiliensisである.
原因菌は,分類学上は細菌に位置づけされているが,病像が真菌症に似ているため,慣習的に真菌症の取り扱いをうけているアクチノミセス症(放線菌症),ノカルジア症では,病変が肺に好発する.前者は最近とみに減少しているが,後者は免疫不全などとの関連もあって,その報告が少なくない.
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