特集 日常臨床検査法
Ⅰ.スクリーニング検査と精密検査
1.化学—3)糖尿病
水野 美淳
1
1東京女子医大・内科
pp.1377-1381
発行日 1974年12月25日
Published Date 1974/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908781
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
糖尿病とは素質の疾患である.血糖,尿糖が最もよく糖尿病の診断に利用される検査ではあるが,その値は非糖尿病者と糖尿病者との間に,どこからが糖尿病という判然とした境界はない.また他の疾患で尿糖陽性,あるいは高血糖になる疾患は非常に多く,検査法として,糖尿および高血糖は決して糖尿病に特異的なものではない.しかし糖尿病は血管合併症を起こしやすい素因の疾患であり,治療を要する糖尿病患者の範囲が莫然とはしているが,合併症予防のためには,かなり早期の軽度な糖尿病の発見が必要である.
一般に感度(sensitivity),特異性(specificity)がともにすぐれた検査法があれば診断は容易であり,そのような検査はその疾患の本質につながるものが多い.糖尿病で得られる検査所見はほとんどが量的な変化であり,かつ特異性もないことが糖尿病の診断を困難にしている.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.