検査と主要疾患・12
高血圧症(若年性)
増山 善明
1
1東大第1内科
pp.1644-1645
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908375
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高血圧の真の原因は今日なお十分には明らかにされていないが,腎性因子(レニン・アンジオテンシン系を中心とした腎性昇圧系と腎髄質の脂質顆粒中の腎性降圧系など),内分泌性因子(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系およびその他のミネラロコルチコイドなど),神経性因子(中枢,圧受容体,交感神経末梢のノルアドレナリン動態など),血管性因子(血管平滑筋収縮機構とレセプター,血管反応性など),Naを中心とした代謝性因子,遺伝因子,血圧調節機構と血行動態面などが相互に関連をもちながら,関与していると考えられている(図1),高血圧の維持には最終的には細動脈収縮を起こさせる刺激が働いている.正常では交感神経末梢より放出されるノルアドレナリンがこれに関与している.この収縮作用を増強させる多くの他因子が高血圧では働いていることが考えられ,なかでも腎性因子やNaの影響が交感神経刺激効果を増大させる方向に働いていることが考えられる.
高血圧の診断は,1つには原因疾患のある二次性高血圧の鑑別除外であり,他の1つは高血圧とそれによる主要臓器の血管性障害の程度を含めた高血圧の重症度診断である.
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