日本人の病気
高血圧
増山 善明
1
1東大第1内科
pp.1650-1652
発行日 1970年11月10日
Published Date 1970/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203394
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疫学的事項
わが国では脳卒中が死因の第1位をしめており,高血圧は脳卒中発生の基礎となる状態として重要である.昭和37年に行なわれた成人病基礎調査にて,40歳以上5912名を対象とした成績でも1),最大血圧150mmHg以上でかつ最小血圧が90mmHg以上のものは26%ある(表1).米国では,1962年のNational Health Surveyによれば,WHOの最大血圧160mmHg以上で,または最小血圧95mmHg以上の基準でとって,成人人口の約20%が高血圧をもつとされている2).
高血圧とくに本態性高血圧では,素因的要素,たとえば遺伝上,両親・近親・兄弟が高血圧であるものからより多く発生することや,白人より黒人で高血圧の頻度も高く,しばしば重症であることなどは,以前から注目されているが,わが国の高血圧は,とくに脳卒中の多発との関連に注意がはらわれてきた.
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