化学検査のうつりかわり・12
アドレナリン
佐藤 辰男
1
,
小林 清
1
,
小野 磐夫
1
,
吉永 馨
1
1東北大第2内科
pp.1615-1620
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908366
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われわれに与えられたテーマは,‘化学検査のうつりかわり──アドレナリン’ということであるが,周知のごとくアドレナリン(以下,A)は副腎髄質ホルモンである.動物実験などで直接に副腎静脈にカテーテルを挿入し,種々の条件負荷を行ない,その前後の血中の濃度を測定し,Aの生理作用を調べる方法が行なわれるが,この方法はヒトでは実施困難である.したがって末梢血か,尿中のAを測定することになる.一方,副腎髄質と交感神経系との間には密接な関係があり,しかも交感神経刺激伝達物質はノルアドレナリン(以下,NA)であることが知られている.AとNAとは,ともにベンゼン核に2個のOH基を有するカテコール核と,これに炭素原子2個をへだててアミンを有しており,カテコールアミン(以下,CA)と総称されている.生体の交感神経・副腎髄質系の機能を知るうえには,このCAの測定が最もすぐれており,Aのみを単独に測定することはまずない.
したがって本稿では,Aという表題をCAと解して,その測定法のうつりかわりについて述べることとする.
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