検査と主要疾患・9
甲状腺疾患
畠山 茂
1
1横浜市大第2病理
pp.1038-1039
発行日 1973年9月15日
Published Date 1973/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908227
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今日,放射性ヨードを利用した諸種の診断法の発達により,甲状腺疾患の診断法は,臓器診断としては最も進歩した完成された体系を有している.
甲状腺は内分泌臓器として甲状腺ホルモンであるl-サイロキシン(T4)とl-トリヨードサイロニン(T3)を分泌するが,上位にある下垂体前葉の向甲状腺ホルモン(TSH)によって支配されている.すなわちTSHの過剰分泌ないし投与により機能は亢進し,臚胞上皮の丈が高くなり,立方上皮から高円柱上皮化し,臚胞内のコロイド(サイログロブリン)の吸収が高まりホルモンの合成分泌の回転も速くなってくる.それに比例して甲状腺の131Iの摂取率が上昇し,血中のタンパク結合ヨード(PBI)の量が増す.ホルモンの増量で組織の酸素消費量が高まって基礎代謝率(BMR)が増し,逆に血清コレステロール値が低くなる(図).このようなTSHの作用は,サイログロブリンに対するタンパク分解酵素の活性を高めかつ血中ヨードの利用率を上げる働きにあるとされている.
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