技術解説
ニュクリポアー・メンブランフィルターの利用法
古橋 正吉
1
,
佐藤 久雄
2
,
土崎 南
2
1東医歯大・中央手術部
2野村マイクロサイエンス社
pp.602-608
発行日 1973年6月15日
Published Date 1973/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908106
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ニュクリポアー・メンブランフィルターと既存セルロース系メンブランフィルターとの比較
ニュクリポアー・メンブランフィルター(ニュクリポアーと略す)はポリカーボネートの超薄皮膜(厚さ10-13μm)に,原子炉中で発生させた荷電粒子を照射してつくり出された飛跡を,ある種の化学薬品槽に浸して侵触させることによって穿孔されるものである.こうしてできたニュクリポアーは均一な孔径を持った円筒状の孔が1cm2当り数千万—数億個あいており,完全なスクリンフィルターとなっている.このため,孔径より大きな粒子はすべてフィルター表面に捕捉される.このような特長は従来のセルロース系メンブランフィルター(ニュクリポアー以外のもの)には見られなかった点である.
図1はニュクリポアーの走査型電子顕微鏡による所見である.均一な孔径を有する孔が垂直にあいているのがわかる.図2は孔径より大きな粒子がフィルター表面に完全に捕捉された状態を示す走査型電子顕微鏡による所見である.これと比較する目的で既存のセルロース系メンブランフィルターの走査型電子顕微鏡所見を図3に示す.これで明らかなように均一な孔径の孔が垂直にあいているとは認め難い.このために粗大粒子ならば表面に捕捉されるが,微生物やほかの微細な粒子はフィルター内部に捕捉されることが容易に推測される.
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