新しいキットの紹介
カオリン加PTT試薬の使用経験
竹中 道子
1
,
田口 和枝
2
,
浦岡 三江子
2
,
鈴木 益美
2
1日大臨床病理(輸血室)
2同中央検査科
pp.551-553
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908086
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出血傾向の第一次スクリーニングテストとして,出血時間,毛細血管抵抗,血小板数,全血凝固時間が検索される.凝固能を調べる全血凝固時間は特別の試薬を必要とせず,ベッドサイドでも簡単に検査でき,凝固の全体像を観察できるという利点があるが,鋭敏ではなく,軽症血友病や,肝機能障害などによる軽度の凝固因子活性低下例は,正常範囲にでてくる場合がある.
部分トロンボプラスチン時間(PTT)は第Ⅶ因子以外の凝固因子のスクリーニングテストとして優れたもので,軽症血友病も,軽度の因子低下も異常値を示すことが知られている.しかし正常値の幅が広いこと,再現性があまりよくないこと,終末点の読み方がみにくいという難点がある.部分トロンボプラスチン試薬の中に一定濃度のカオリン,セライト,エライジン酸などを加え,第ⅩⅡ因子および第ⅩⅠ因子の活性化(ただしセライトは第ⅩⅡ因子の活性化と第ⅩⅠ咽子の吸着を行なうとされている)を行なって凝固時間を測定する活性部分トロンボプラスチン時間(Activated PTT)がくふうされ,製品化されているものもある.活性部分トロンボプラスチン時間は,部分トロンボプラスチン時間に比し正常値幅が狭くなり,再現性がよくなるという利点がある一方,軽症血友病などが正常値を示す可能性が懸念されている.
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