ひろば
‘ひろば’のなかの私
村田 徳治郎
1
1慈生会ベトレヘム病院臨床検査科
pp.550
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908085
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私事で恐縮だが,私はよく‘ひろば’へ投稿する.わずか四百字詰めの原稿用紙2,3枚程度であるが,それでも書きたい問題を頭でまとめるまで少なくとも1週間ほど,断片的にメモし,下書に2,3日,そこで原稿に書く段になると下書と異なった方向に筆がいってしまう.その結果自分自身はむしろ下書のほうがよいと思うくらいだから,おして知るべしである.多忙な臨床検査室で最後まで完了できないのは当然である.ある時は1枚の原稿を書くのに4,5日かかったこともある.読み返せば返すほど改めて初めから書き直したいと思うのだ.結局それでは頭だけで足のほうは永遠に書き上げることができない.それで投稿してしまうことがままある.
思い上がったいい方と思われるかも……と思うが,下準備なく書こうとする人が存外多いのに驚かせられる.あるプロの小説家が書けない日が何日もあるとも,また資料なくして考えはまとまらないとも言っていたことを記憶している.何事でも共通することだが,常々書くという習慣をつけることが肝要だと思う.ことばでも幼児からいやでも会話しているから思うことが言えるようになるのだろう.その意味から気がすすまない時でもできるだけ書くようにして,練習することがたいせつに思う.それとおっくうという気持を追放する努力はなくてはなるまい.
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