技術解説
カオリン凝集反応—その術式と診断的意義
阿部 正英
1
1国立多摩研究所第二研究部
pp.187-191
発行日 1967年3月15日
Published Date 1967/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917123
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はじめに
液性の抗原を粒子の表面に吸着させて,この抗原に対応する抗体と反応させると,粒子の凝集が起ることは古くから知られており,この現象を利用した血清学的検査法には,梅毒凝集法,ガラス板法,Middlebrook-Dubos反応,R A試験,その他の数多くのものがある。これらの血清反応では,抗原が吸着するのに適した粒子を選ぶことがまず大切である。何故なら,粒子の表面の性質により,吸着されやすい抗原と,そうでないものとがあるからである。たとえば,カオリンやコレステリンは脂質をよく吸着し,赤血球表面は細菌性多糖体に親和性があり,血清蛋白質や蛋白性ホルモンなどはラテックス粒子に吸着される。
以下には脂質を抗原としたカオリン凝集反応の術式を主として述べるが,それ以外の抗原,たとえば血清蛋白質についても,同様な術式による応用が可能である。現在のところ,この反応を利用した検査法として,広く用いられているものは梅毒凝集法であるが,その術式については別の成書を参照されたい。そのほかに,結核および癩の血清学的検査が一部で行なわれており,将来,いろいろな臓器や病原体の脂質の抗原性をしらべるさいに,カオリン凝集反応が役立つかもしれない。
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