技術解説
内分泌細胞診(カラーグラフ参照)
石束 嘉男
1,2
1日大
2厚生中央病院産婦人科
pp.489-498
発行日 1973年5月15日
Published Date 1973/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908073
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細胞診といえば癌を連想するほど,わが国では癌の細胞診は一般化しており,またこれにより癌の早期発見,早期治療が可能ともなったことは衆目の一致するところである.しかし細胞診の歴史的背景を考えると内分泌細胞診こそ,細胞診の主流であり,癌の細胞診はむしろ副産物的なものであったといえよう.実際,欧米各国の細胞診,特にその教育面をとってみると,いかに内分泌細胞診を含めた良性細胞の細胞診が重要視されているかがわかる.このような観点よりすれば,わが国の細胞診の教育は悪性細胞診に偏りすぎたきらいがあり,今日のように,国際化が盛んになってくると,医師あるいは細胞診技師の教育面で,もっと癌以外の細胞診を徹底させなければ片具の細胞診医師あるいは技術者を生み出し,国際的な趨勢についていけないのではないかと憂慮されるに至っている.
そこで昨年の日本臨床細胞学会秋期大会では教育講演として内分泌細胞診が取り上げられたことは当然のことであり,むしろ遅きに失したきらいがあるくらいである.そこで本稿では,その教育講演の内容を抄録化することにより,いっそうの理解を得るように努めた.なお,個々の項目については十分に記述しつくされているとは思えないが,足らないところは著者らの「Practical Cyto-diagnosis」(医学書院,1972)あるいは「細胞診の実際」(医学書院,改訂版,1973)を参照されたい.
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