検査と主要疾患・3
膵炎
畠山 茂
1
1横浜市大第2病理
pp.338-339
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908028
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従来膵の外分泌は,主として自律神経の調節を受けていると考えられていたが,消化管ホルモンの発見により,膵の外分泌機能は自律神経のほかに,これらホルモンによっても支配されていることがわかってきた.
すなわち,胃幽門部より分泌されるガストリンは,胃の塩酸を分泌させ,塩酸は十二指腸にはいり,十二指腸と小腸粘膜を刺激して,セクレチン,パンクレオザイミンを分泌させ,血中に吸収されたこれらのホルモンはさらに膵に作用して,セクレチンは細葉中心細胞や膵毛細管上皮などから水や重炭酸などの電解質を分泌させる.またパンクレオザイミンは,膵細葉細胞からアミラーゼ,リパーゼ,トリプシノーゲン,キモトリプシノーゲンなどの膵酵素を分泌させる.しかし迷走神経の刺激によっても,同様に酵素系の分泌が増す.トリプシノーゲンは,十二指腸粘膜から分泌されるエンテロキナーゼの作用で活性化されトリプシンに変わり,キモトリプシノーゲンは,このトリプシンによってさらに活性化されるという連鎖反応を生む(表,図1).以上のホルモンを分泌する細胞は,光学顕微鏡でも,好銀性又は銀嗜好性細胞として観察でき,通常の上皮細胞間に介在する.
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