検査法の基礎理論 なぜこうなるの?
CRP検査における血清不活化の意義
松田 重三
1
1帝京大学第1内科
pp.223-226
発行日 1981年3月1日
Published Date 1981/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202233
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抗原抗体反応の場において,補体がその反応を阻害することが一般に知られているが,これは次のように説明されている.すなわち,抗原抗体反応の第一段階で形成された抗原抗体複合物に,その第二段階で,比較的巨大な分子である補体が,免疫グロブリンのコンスタント部分(CH1+CLあるいはCH2)に反応するため,可視的反応物の形成を阻害するためであると考えられている.
したがって,この補体の作用を除くために,多くの血清反応では,被検血清を56℃30分間加温し,補体を不活化して検査するわけである1).もっとも,従来毛細管法によるCRP(C reactiveprotein,C反応性蛋白)試験においては,保存検体あるいは不活化した検体を使用すると,上述した理論に反し,逆に,"偽陽性"反応を呈する2),という理由から,被検血清は新鮮なまま,不活化せず使用することが一般的であった.
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