公害物質の検査法・4
かび毒(マイコトキシン)—アフラトキシンB1の検査法
倉田 浩
1
1国立衛生試験所衛生微生物部真菌室
pp.1427-1432
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907851
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ある種の青かび,こうじかびなどが産生する第2次代謝生産物中に強い発癌性をもつ物質が存在することが動物実験で証明されたのは,ここ10年来のことである.このような発癌性かび毒を産生するかびが,わが国民の主食であるコメやムギなどのいわゆるデンプン性食品を基質にしてその発育のみでなく,かび毒の産生性もきおめて良好であることが種々の実験で証明されている.この中でかび汚染ピーナッツ粕による七面鳥の中毒事件に原因したかびAspergillus flavusの産生する毒素アフラトキシン(以下AFと略す)は,最も強力な発癌性を有するものとして注目されている.
AFB1ではラットの慢性毒性実験によると,飼料中15ppbの極微量で,雄ラットでは68週,雌ラットでは82週間で100%肝癌を誘発している.投与量とラットの1日の喫食量で換算すると毎日約0.2μg与えたことになる.このような極微量で発癌性を示す物質はこれまでに知られていない.
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