特集 輸血業務と臨床検査
輸血部の運営
2.管理と運営
村上 省三
1
1東京女医大・輸血部
pp.1339-1346
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907834
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こし方をふり返って
輸血部ないしは院内血液銀行と呼ばれるものが,わが国に生まれてから,すでに20年の歳月がながれている.すなわち1951年3月に故加藤勝治先生のご努力により東京医大に生まれたのが第1号である.同じ年の5月には東大に,7月には伊豆逓信病院に,10月には日赤中央病院にと続続と誕生している.これよりさき1948年に,有名な東大分院産婦人科における輸血梅毒事件が起こり,連合軍からも厚生省や東京都に対して保存血液を主力とした国家的な血液対策の樹立が勧告されており,その勧告に従って,1949年5月,各国に準じて,その主役は日本赤十字社がになうことに決められた.
しかし日赤として本格的に着手したのは,前記の日赤中央病院の輸血部を発展的解消して,東京血液銀行を作ったのがはじめであり,そのかげには加藤勝治先生や東陽一先生,さらには古畑種基先生,緒方富雄先生などのご尽力があったわけである.日赤のめざしたものは,多くの外部の病院に血液を提供しようとするものであり,院内血液銀行とは本質的に性格が異なるものであった.
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