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血小板第3因子の測定をトロンボプラスチン(トプ)形成試験(TGT)で行なうことの利点は,血液中の凝固因子の影響を受けずに血小板のトプ形成能を測定できることであるが,血小板浮遊液作製のための操作(洗浄および再浮遊)中に血小板を障害することが欠点である.われわれの検討でも洗浄液の上清中にかなりの第3因子能が認められている.つまりTGT法における血小板第3因子能を考えるには,(1)洗浄液に遊出した分は廃棄されること,(2)血小板浮遊液の第3因子活性は再浮遊操作で液中に遊出している第3因子との総和をみていることを念頭にいれておかねばならない.この場合問題になるのは血小板内の血小板第3因子量と,洗浄,再浮遊の操作中に血小板第3因子を遊出することに関係のある血小板膜の抵抗性(あるいは脆弱性)である.
血小板のトプ形成能が不良の場合,血小板を破壊(超音波ないしは凍結融解による)したものでトプ形成能を測定して,破壊後もトプ形成が不良であれば血小板内の第3因子量(PF3-T)の欠乏(deficit thrombopathy)である.破壊後トプ形成能が正常であれば血小板第3因子の放出障害(functional thrombopathy)ということになり,真性多血症などはこの例である.この血小板膜の抵抗性はosmotic resistance test(Ultin;1959)で測定することができる.血小板膜の抵抗性は正常であっても血小板第3因子の放出障害がある場合があり(血小板無力症など),この場合はTGT法では一応正常であるが,カオリン法による血小板第3因子能で低下を認める.実際にはPF3-Tが正常で血小板第3因子能の放出による活性(PF3-A)の低下する場合が多い.
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