トピックス
血小板増殖因子
寺村 正尚
1
,
溝口 秀昭
1
1東京女子医科大学血液内科
pp.919-920
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902532
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■トロンボポエチンの単離
マウスなどに抗血小板抗体を注射して血小板数を減少させると,血漿中に血小板産生を刺激する液性因子が増加する.この生理的な血小板増加因子はトロンボポエチン(TPO)と呼ばれている.TPOの存在は30年以上前から知られていたが,単離はされていなかった.1990年頃,インターロイキン-6(IL-6)は動物に注射すると血小板増加作用が認められたので,TPOではないかと話題となった.しかし,その後の研究で血小板減少期に血中に増加しないことからTPOではないことが明らかとなった.その後も,遺伝子工学的手法を駆使して,新しいサイトカインが次々と純化されたにもかかわらず,TPOは単離されないので,TPOの存在さえ疑問視する声も出てきた.ところが1994年,ついにTPO単離の報告が多数の施設からほぼ同時に報告された.TPOは驚いたことに,それ以前から知られていた造血細胞に特異的に存在するc-Mplレセプターのリガンド(レセプターに結合する蛋白)であった.
TPOが単離された経緯には2つの流れが存在する.1つは1986年,Wendlingらがマウスに白血病を起こすレトロウイルス(MPLV)を発見し,さらに1990年このウイルスより新しい癌遺伝子,c-Mplを発見したことである.
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