特集 酵素検査法
生化学
イソクエン酸脱水素酵素 Isocitrate dehydrogenase
服部 信
1
1国立がんセンター病院内科
pp.1204-1206
発行日 1971年12月1日
Published Date 1971/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907392
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いとぐち
この酵素は図に示すいわゆるKrcbsの三炭酸サイクルの過程のIsocitrate(イソクエン酸)よりまず水素が2つ離れて,オキザロ酢酸となり(前段階),次いで炭酸ガスがとんで,α-ケトグルタール酸と化す(後段階).これの酵素がイソクエン酸脱水素酵素で,補酵素としてNADPを必要とするもの(臨床化学にたいせつなのはこれである)と,NADを必要とするものがある.NADを要するものは,ミトコンドリアの中に存在し,NADPを要するものは,ミトコンドリアの中に存在するものと,細胞の上清成分に存在するものがあり,あとの2者は質的に異なる.本酵素の前段階までは,酵素と2価のイオン(Mg++またはMn++)を要し,あとの段階は2価イオンの存在のみを必要とし,酵素はいらない.前の脱水素化には,2価イオンがないと,反応がきわめて遅くなる.
本酵素はmalic enzymeとか,isocitric enzymeという人もいたが,一般にはこれの名称を用いる入は少ない.いずれにせよ,Krebsのサイクルの重要な酵素である.臨床化学手技上は問題にならぬが,α-ケトグルタール酸は若干酵素反応を阻害する
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