特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム
新生児黄疸
新生児黄疸の病理
神部 誠一
1
Seiichi Kanbe
1
1大阪市立大学医学部病理学教室
pp.124-126
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202982
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はじめに
新生児黄疸と成人の黄疸とは,その発現機序において異なる場合が多い。その最も大きな相違点は,新生児肝実質細胞の負うビリルビン代謝における「機能の未熟性」に求められるが,もちろんそれだけが単一な要因ではない。新生児期に限つて出現する特異な型の黄疸の存することも注目されねばならない。
新生児黄疸の分類に関しては,高度かつ遷延性で重篤な病変を合併した黄疸を一括して重症黄疸と呼び,いわゆる生理的黄疸との鑑別のみに満足していた時代は遠く過ぎ,胆色素代謝の生化学的研究の発展を足掛りとして著しい進歩を遂げ,現在は黄疸発症の機能的な機序をその分類の基礎とする傾向にあり,またそれが最も理想的なものといえる。ただし,その機序が単一な要因によつて支配されない場合もあり,かかる場合この分類法は多少の混乱を免れない。演者は主として病因論的な分析を主軸とする次のような分類方法を採用したが,この中のあるもの(例えば核黄疸症)は,現象的あるいは症候的で,病因論的立場からの分類の範疇からははみ出るが,新生児黄疸として特殊なものであり,これを省略することはできないと考え分類の中の1項目に参加させたわけである。以上のような理由から,これらの分類法も未だ不完全なものであることは十分理解している。
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