Senior Course 血液
止血検査
浮田 実
1
1東医大・臨床病理
pp.98
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907076
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1.止血のしくみ
血液は血管内を流動性を保ちながら流れているが,血管壁に破綻を生ずると血液は血管外に流出して出血をきたす.細小血管よりの出血の場合にはただちに止血機構が働いて自然に止血する.すなわち血管の損傷により血管内皮細胞は剥離して膠原線維が露出する.この膠原線維は血小板のみを選択的に付着(粘着)させ,次いで膠原線維に粘着した血小板はさらに流血中の血小板を付着し(凝集),血小板変態を起こしていわゆる止血血栓,あるいは血小板血栓を形成する.この止血血栓は血管の損傷部位をふさぎ,それ以上出血するのを阻止する.
一方,この血栓の間隙に貯溜している血漿中の第XII因子は,正常の血管内壁以外の膠原線維などの異物面と接触して活性化され,凝固機構が開始し,線維素を形成する(凝固血栓).この際血小板より放出される疑固因子,血管壁,ならびに組織より浸出する組織トロンボプラスチンなどは線維素の形成を促進する.この凝固血栓は止血血栓をより強固なものとしている.
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