特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅳ.術前一般検査—異常値の読みとその対策
止血機能の検査
篠木 信敏
1
,
上林 純一
1
1大阪大学医学部第2外科
pp.434-437
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902546
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はじめに
手術に際して,止血機構の必要かつ十分な評価が必要であることは言うまでもないが,止血機構は,血小板と血管壁が関与する一次止血機構,凝固反応が主役である二次止血機構,線溶系とさらにそれらの活性化を調節する制御系より構成される.生体にとって合目的な止血反応が破綻すると,出血異常,血栓症やそれに伴う臓器不全,創傷治癒の遅延などの重篤な病態が発症する.すなわち,止血機構の役割は単に血栓の形成による失血の防止だけでなく,血液流動性の維持や組織修復など多くの重要な生体反応に関与している.近年,新しい止血検査が多く開発されているが,すべてが術前検査として必要ではなく,不必要な検査は避けるべきである.
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