研究
合成物質を基質とした線溶測定に関する研究—測定法の検討とTrasylolの抗線溶作用
宮谷 勝明
1
,
福井 巖
1
1京府医大病院臨床検査部
pp.1481-1485
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907049
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はじめに
プラスミンはフィブリーゲン,フィブリンのみならず,ゼラチン1),カゼイン2)および血液凝固系に関係ある第Ⅴ因子3),第Ⅷ因子4)やトジール-エル-アルギニンメチールエステル(TAMe)5,6),エル-リジン-エチールエステル(LEe)5),ベンゾール-エル-アルギニン-エチールエステル(BAEe)6)などの合成アミノ酸エステルをも分解するとされている.この中で合成アミノ酸エステルを基質として用いる方法は,基質が純粋な形で得られること,比較的安定であること,測定時の条件をも容易に管理できること,さらに同時に得られる結果も再現性に富んでいることなどであろう.したがって以前よりTrol1ら5),Hestrin7)および安部ら8)によって試みられてきているが,われわれはHestrin7),安部ら8)の手技を用い,ブタプラスミン(Plasmin Novo)標本を用いて基礎的検討を加えた.あわせてKallikreinのみでなく,トリプシン,キモトリプシン,プラスミンをも抑制すると考えられているTrypsin Kallikrein Inaktivator(Trasylol)についても,プラスミンの線溶能の抑制物質であるtrans-AMCHAの作用と比較して検討を行なったので,その成績について報告する.
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