新しいキットの紹介
感染性単核球症の診断試薬Mono-Testの使用経験
伊藤 忠一
1
1東北大病院中検
pp.601-603
発行日 1970年6月15日
Published Date 1970/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906825
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はじめに
感染性単核球症はリンパ腺腫,脾腫および発熱などを主訴とする熱性疾患で,現在ウィルスによる感染症と考えられている.本症は,欧米各国においてかなり高頻度にみられる疾患であるが,本邦においても鏡熱・日向熱・土佐熱などと呼ばれてきた風土病,小児のリンパ腺腫を伴う熱性疾患などと臨床症状がきわめて類似しており,その鑑別は必ずしも容易ではない.
従来,本症の診断には血清中の異好性抗体を検出するPaul-Bunnell反応1)(P-B反応)および,これら異好性抗体のウシ血球およびモルモット腎による吸収試験(Davidsohn)2)が用いられてきたが,本反応は血清病,肺炎,マラリア,溶血性黄疸,はしか,流行性耳下腺炎,猩紅熱,herpes,白血病,泉熱,リウマチ様関節炎,多血症,急性肝炎,各種リンパ腺腫などでも高値を示すし,またDavidsohn吸収試験は必ずしも典型的なパターンを示さないことがあるため,特異性という点では問題がある.一方,Henleら3,4),日沼ら5)によって感染性単核球症の病原ウイルスがEBウイルスであろうという血清学的証拠が提出されており,EBウイルス抗体価を測定することによってその病原診断,経過の判定が可能になりつつある.しかしながら,本抗体の定性,定量には螢光抗体法という繁雑で高度の技術が必要であり,日常検査として採用するには多くの困難を伴う.また,感染性単核球症のすべてがEBウイルス感染によって起こるものではないと同時に,感染性単核球症以外の疾患でもEBウイルスが病原となっている場合も多く考えられている5,6).
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