技術解説
微量の試料中の乳酸脱水素酵素(LDH)検査法
鈴木 貫太郎
1
1日大歯学部・化学
pp.343-347
発行日 1970年4月15日
Published Date 1970/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906749
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血清中の酵素を生化学的に検査することによって,臨床的診断を行なうことが最近とみに盛んになってきた.これは酵素化学の進歩に伴い,いろいろな酵素の活性値と疾患との関係,疾患によるアイソザイムパターンの変化などが見いだされたことにより,臨床へ応用されるようになったためである.
特に乳酸脱水素酵素(LDH)は心臓疾患や肝臓に障害があるときなどの場合,血清中の酵素活性値が変動するのみならず,アイソザイムパターンが変わることによって診断に非常に有用なことから,多くの臨床検査室において検査が行なわれている.このためにLDHの臨床診断用の試薬としていろいろなキットが販売されているが,ここに紹介する方法は,従来の諸方法より微量の試量中のLDH活性値測定および,アイソザイムパターンを知ることができるものである,すなわちこの方法によれば,LDH活性は血清の場合は0.2μl,アイソザイムの分離測定にはセルロースアセテート膜法では2μl,デンプンを用いた場合は15μ1以下の血清で十分である.生検材料の場合は粘膜などでは1×1mmの大きさで,5μの厚さの切片中のLDH活性を測ることができ,アイソザイムパターンは厚さ20μの切片3-5枚で十分知ることができる。臨床検査に用いられる試料の量は,少なければ少ないほど患者にとって望ましいことであって,治療の経過に伴い継続して検査を行なうときなどこの方法は有用である.
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