特集 巨赤芽球および巨赤芽球様細胞
抗白血病剤による巨赤芽球様細胞の出現
守田 浩一
1
,
岩永 隆行
1
,
入交 清博
1
,
天木 一太
1
1日大萩原内科
pp.240-243
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906719
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はじめに
巨赤芽球の特徴は,細胞が不正形であるということもあるが,それより本質的な点は,核と細胞質との間で,成熟の度合に不一致がある所見といえる.細胞質の成熟度,すなわち血色素の合成の度合と,核構造の分化,すなわち核の線細度とが一致せず,核の構造が細胞質の分化に比べて未熟の段階を保っている。また,核の消失の様子も特徴的で核の多形性が強く,成熟するにつれて多数の核小片に分かれて,赤血球内に分散している像(karyorrhexis),あるいは核の一部が融解しているような像(karyolysis)もみられる1,2).
これらの巨赤芽球は,VB12欠乏による悪性貧血や葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血でみられ,赤白血病でも似た細胞がみられるが,各種の抗白血病剤を投与した場合にも,巨赤芽球と類似した巨赤芽球様細胞が認められる.そのような薬剤としては,まずメトレキセート(アメトプテリン),アミノプテリンがあり,これらは葉酸拮抗物質であるので,薬酸欠乏症のときと同様の変化が認められることは容易に想像されるが,そのほかの抗白血病剤,抗癌剤のサイトシン・アラビノシッド,5-Fu(5-fluorouracil)などでも認められる.
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