特集 血清学的検査—その本質と実際
リウマチ因子,自己抗体,補体
補体の検査法
稲井 真弥
1
1大阪府立成人病センター
pp.1133-1137
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906610
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緒言
最近10年間の補体に関する研究の進歩はめざましく,従来補体は第1(C1),第2(C2),第3(C3),第4(C4)の4成分からなると考えられていたが,C3がC3,C5,C6,C7,C8,C9,の6つの独立した成分に分かれることが発見され1,2),補体は少なくとも9つの成分からなることが明らかにされた.各補体成分はいずれもタンパク質で,血清から高度に精製されたかたちで分離できるようになった.そして各成分の免疫溶血反応における反応の順序や機作が明確になり,それにつれて血清中に補体成分を不活性化する物質(C1 inactivator,C3 inactivator,C6 inactivatorなど)があり,補体成分とこれらの物質が血清中で複雑な反応系を形造っていることがわかってきた.また補体成分は,免疫溶血の中間生成物を用いて正確に定量できるようになった.
補体に関する研究がこのように進んだ今日,ふり返って検査室における補体の取り扱いについて考えてみると,次の2点を問題点としてあげなければならない.第1は梅毒,ウイルス性疾患の検査法としての補体結合反応に,補体研究の成果が全く取り入れられず,旧式な方法がそのまま行なわれていることである.第2に血清補体価の定量の臨床的意義については,今後さらに検討されなければならないが,現在では全くかえりみられていないことである.この2つの問題はいずれも,50%溶血法による補体価の測定法が普及していないためである.そこで50%溶血法によるヒト血清補体価の測定法を中心に,その基礎となる溶血素血清の作り方,至適感作に必要な溶血素量の決め方など実際的に重要な点について述べる.
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