研究
集団調査における血液採取の効果的な方法(1)
大倉 興司
1
1東京医歯大人類遺伝学研究室
pp.987-989
発行日 1969年11月15日
Published Date 1969/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906587
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はしがき
人類集団の疫学的調査,特に遺伝学的研究の目的で,一時に多数の個体から血液を採取する機会が急激に増加してきた.これまでに行なわれてきた血液の採取,保存,輸送の方法は個々の研究目的にはかなっていても,必ずしも一般化しうるものではなく,特に経済性という点を含めて考えると効率的とはいいがたい.WHO Scientific Group(1968)は"Research on Human Population Gentics"と題する報告書の中で,調査すべき人類集団や形質などの検討のほかに,血液の採取,保存,輸送の一般的方法を示している.しかし,解説は十分詳細をつくしておらず,一部わが国では理解しにくい点もある.
著者らは過去10年ほどの間に,国内および海外において10万以上の個体から血液を採取し,各種の検査を行なってきた.この間に,効率的に血液を採取し,保存し,研究室まで輸送するための技術的改良を続けてきた.この間に開発された方法が最良のものではないにせよ,これまではこういった問題が公開され,検討されることがほとんどなかったので,ここに多くの研究者の批判の素材として紹介し,資料の正確な収集と,そのための効率的な方法の開発への出発点としたい.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.