原著
地域集団の淋菌一日調査
宮入 正人
1
,
太田 正
2
,
海老原 進
2
,
清瀬 吉次郎
3
,
山平 広治
3
1国立公衆衛生院疫学部
2兵庫県衛生部保健予防課
3兵庫県立生田病院
pp.508-511
発行日 1958年9月15日
Published Date 1958/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202020
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一定集団内の有病者数(Prevalence)を知る事は疫学研究の上に,又対策樹立の上に欠く事の出来ない基礎的事項である。この基礎的資料を得る為に今日まで多くの試みが行われている事は周知の通りである。しかし乍ら今対象を淋疾のみに限つてみても決して容易な事ではない。対象を自他覚症ある患者に限る事は淋菌感染者の大部分をとらえる事にはならない。淋疾には無自覚的感染者が相当数存在するからである。又淋菌の存否を指標にする場合でも,その検出方法,手技によつて同一の結果を得られるとは限らない。
又調査目的からして,被検者に苦痛を与える如き方法は用いられず,同時に被検者数も少くては目的を達し得ないので検査手技が極めて複雑なものは多人数を検査する場合不便である。結核に対するツベルクリン反応の如き,梅毒に対する血清学的反応の如き免疫反応を利用する方法は未だ淋菌感染症に対して完成されていない。
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