技術解説
血液凝固に関する検査法(4)
佐竹 清人
1
,
牛山 清司
2
,
小島 直彦
2
,
国島 修
2
,
盤若 博司
2
,
酒井 義雄
2
SATAKE KIYOTO
1
,
USHIYAMA SEIJI
2
1日本医科大学内科
2日本医科大学内科教室
pp.253-258
発行日 1963年4月15日
Published Date 1963/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906103
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IV.凝血因子の分別測定(つづき)
9.トロンボプラスチン(以下トプ)形成試験Thromboplastin Generation Test (TGT)
全血またはカルシウムを再加した血漿におけるトロンビンの形成をしらべてみると,最初の数分は全くその形成がみとめられないのに,凝固がはじまりかけると突然大量のトロンビン形成が起こる。これは正常の血液中にプロトロンビンをトロンビンに転化せしめるに必要なすべての要素が存在すること,ならびに,これらが相互に作用し合それと塩化カルシウム溶液とを同時に,あらかじめ37℃に温めておいた正常血漿の中に加えればQuickの1段法プロトロンビン時間測定法と全く同じ原理で凝固時間が観察され,それは時間の経過とともに短縮して,ついに一定の最短時間になるはずである。ところが,もし内因系トプ形成因子に異常があれば,混合液中に強力なトプが形成されないから,基質(substrate)として用いた正常血漿の凝固時間(プロトロンビン時間)はそれほど短縮しない。従って混合液の内容,とくに吸着血漿と血清を健康者と患者について種々組って強力なプロトロンビン—トロンビン転化物質,すなわち内因系トプを形成するのに若干の時間を必要とすることを意味する。
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