研究
Simplastinに関する検討
佐竹 清人
1
,
盤若 博司
1
,
綿貫 実
1
SATAKE KIYOTO
1
1日本医科大学内科
pp.371-374
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906119
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
最近,わが国においても欧米各国と同様に心筋硬塞をはじめとする各種血栓塞栓症の増加が注目されるようになり,その予防ないし治療の目的で抗凝血薬療法ことにCoumarin系ならびにIndandione系の経口的抗疑血薬による長期投与療法(long-term anticoagulation)を行なおうとする動きが活発になりつつある。ところで,本療法を行なうに際して最も問題になることの一つは,長期間にわたって適当な低凝固状態を維持し,しかも忌むべき出血事故を未然に防ぐことのできるように薬剤投与量を調整することにあり,これを抗凝血薬療法のコントロールという。
経口的抗凝血薬がいかなる機序により抗凝血的に作用するかについては,まだ不明の点がないでもないが,血液中の各種凝血因子のうち,とくにプロトロンビン,第VII因子,第IX因子,第X因子の4因子の活性を低下せしめて,抗凝血的に作用するということには異論がない。それならば,これら4因子の活性値を適当な低レベルに維持することにより,本療法の目的が達せられることになるが,適当なレベルにあるということをいかなる方法で把握するかが問題となる。最も望ましい方法はこれら4因子の変動を総合的に把握することができるもので,これに適うものとして最近OwrenはThrombotest1)2)なる新しい方法を考案した。
Copyright © 1963, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.