技術解説
白血病細胞検査法(1)
木村 禧代二
1
1国立がんセンター病院中央検査部
pp.733-736
発行日 1962年11月15日
Published Date 1962/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906033
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はじめに
白血病はウィルヒョウ(Virchow)により患者の血液が灰白色の外観を呈するがゆえに命名された疾病名である。しかしこの病気の外部症状の一部はすでに遠くヒポクラテス(Hippokrates)の時代より知られており,またウィルヒョウ以前においても多くの研究者,臨床家は血液の半膿様外観に気づいていた。大切なことはこのような血液の膿様変化が1844年ドンネ(Donné)により白血球によることが確認されたことで,ここにおいて始めて血球と白血病が親密な関係を持つに至った。その後19世紀に至り,この白血球の変化が脾腫,リンパ節腫,骨髄の変化と一定の関係を有することが見出される一方,血球の系統発生に関する知見の進歩に伴い現在のごとく骨髄性,リンパ性あるいは単球性と呼称される白血病の存在が信ぜられるようになった。しかし後述するごとく好中球白血球の母細胞である骨髄芽球,リンパ球の母細胞であるリンパ芽球(幼若リンパ球),単球の母細胞である単芽球(幼若単球),あるいはその他の血球の母細胞との間にはまだ明確な鑑別点が存せず,その決定は多くの手技の総合所見の上になされねばならない。従って白血病の細胞学的分類は常に関係学会の議論の対象として取り上げられている。
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