私の工夫
結核菌培養における喀痰の混和および接種法の新案について
松下 亀能
1
1国立岡山病院研究検査科
pp.495
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905996
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喀痰の結核菌培養(小川培地使用)を行なう場合,所定量の4〜8%水酸化ナトリウムを加え,充分混和均等化したる後接種することが大切である。この際,普通検査室ではコマゴメピペットを使用しているのが慣例であるが,粘稠の喀痰,特に痰コップ,シャーレ等の口の広い容器にいれてある場合,時間をかける割には混和均等化することが比較的少ない。
私は新しい試みとして次のようなことを行なっている。まず5mlの注射器(臨床で使用不能になったもののうち吸引可能のものを使用)を用意し,その外筒とピストンを縫合糸(手術場よりの廃品利用)で結んでおく次いで喀痰培養を行なうとき,水酸化ナトリウムを加え前記注射器で攪拌と吸引を数回繰り返して後培養に移している。このようにすればかなり粘稠なものでも直ちに均等化されるので,コマゴメピペット使用の場合よりもはるかに有効である。更に初心者が培養を行なう場合には,あらかじめ喀痰量をこの注射器で測り,水酸化ナトリウムを加える量を知ることができるため,非常に好都合であると思う。培地へ接種する場合にも,そのまま使用せる注射器で吸引し接種すれば,コマゴメピペットで行なう揚合よりも操作が大変容易である。また定量的に培養する必要があるときは同注射器で2滴落とせば約0.1ml接種することができる(この場合は念のためコマゴメピペットを使用してもよろしい)。なお岡・片倉培地等を使用するとぎも同じ方法で行なうことができる。
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