技術解説
ファージタイピングについて
岩原 繁雄
1
1国立衛生試験所
pp.209-214
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905686
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ファージタイピングについてなにか書くようにとの依頼があり引き受けてはみたが,この方面の研究を切りあげてからすでに4年ほどたつてしまつた今日,私の書いたものがどれほど皆さんの参考になるかはなはだ疑問である。しかし当時を振りかえつてみると,私のファージタイピング熱も一時は相当なものであつて,いろいろ苦労もし,経験した点も少くないので,それらを書き残すことによつて皆さんに対して何等かお役に立つことができれば幸いと考える次第である。
ここでいうファージタイピングとはかなり広い意味に解釈していただきたい。つまりファージに対する感受性のちがいを利用して菌株間の差をあきらかにする方法をさすものとする。その代表的なものの1つは狭義のファージタイピングであり,もう1つはファージスクリーニングである。ファージタイピングは,菌株を細かく型別けしようという試みであつて,他の方法ではそれ以上細かく分類することができないばあいにも有効であることがある。一方ファージスクリーニングはある特定の菌だけを溶かすファージを用いて,たくさんの菌のなかから目的の菌をひろいだす方法である。
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