新しい検査法
細菌鞭毛染色法の研究—Leifson法の検討
神中 寛
1
,
中山 宏明
1
,
水口 康雄
1
1九州大学医学部細菌学教室
pp.45-48
発行日 1960年1月15日
Published Date 1960/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905660
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緒言
細菌の鞭毛は,菌体の主要な構造物の一つであり,細菌分類学上の重要な指標となるものである。従つて,この形態学的特徴を知ることは,分類のための手続きとして,是非必要なことであるが,このものの長さに比して幅が小さく,光学顕微鏡の分解能以下にあることは,簡単な観察を困難にしている。電子顕微鏡を用いれば,大きさによる制約はなくなり,容易に微細な構造まで知ることが出来るが,細菌細胞全体に対する鞭毛の関係,巨視的(電子顕微鏡に比して)形態を検するには,反つて適していないし,どの検査室でも簡単に行いうるというものでもない。光学顕微鏡による検査は,この点を考えればやはり鞭毛の形態を検する上に最も有力な手段であることになる。
ところで,今述べた如く,鞭毛の太さが光学顕微鏡の分解能以下にあるために,光学的観察は普通の方法では行うことが出来ない。
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