技術解説
濾紙の種類と使い方(3)
及川 五郎
1
1東京濾紙株式会社
pp.541-545
発行日 1958年9月15日
Published Date 1958/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905504
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千里馬常有而伯楽不常有
50年ばかり前の話,小学校の2〜3年頃であつたか,おやぢが教えた漢文の素読の一節である。田舎の家のいろりのそば,台所の板の間ふき,庭の草取り,苦しい暮らし向きを手伝う合いの間の口伝であつた。返り点,句読点,送り仮名もない白文を今では却つてなかなか読みづらい。
若くして東都に学び,志を得ずして国に帰つた父は村会議員や学務委員と狭い土地の名誉職には甘んじなかつたか,それとも半農半商の貧乏生活のいらだちでもあつたろうか,悶々の情を酒に過ごしたこともちよいちよいあつたらしい。路の上,橋の上,所かまわず寝ころんだら最後,誰の介抱もよせつけない,不思議に目をさますのは子供の迎えに限ると云うので見掛けた人の知らせがあれば母はあわてて私達に云いつけた。年子を交えて2つ違いの兄弟5人は男ばかり,育ち盛りの苦しいなかでも子供の養育だけを楽しみにして居たらしい。
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